2006-01-01から1年間の記事一覧

●;佐藤優『国家の罠』を読む

●;手にするのが億劫だっただけで読むのを躊躇する理由は特になかったが、教えられ、感心し、ホロリとするところあり。「フーム」と考え込んでしまうところも。著者は「義」の人、殉ずる対象は「外交(国益)」と「友人」(鈴木宗男氏も含む)。「国策捜査」…

暮の「わいがや②」

●;06/12/26日、本年最後の「わいがや;②」の集まり。コンテンツな人々が蝟集する《場》として3年近く続けている小さな集まり。《コンテンツな人々》とは手前勝手な造語だが《他者へ伝えようとする意思内容を持つ「人」、またはそれらの加工業者》という意…

●;俺はやんないよなぁ

●:読み集めたものに『現代の発見』(春秋社)という函入りのコンパクトなシリーズ本がある。編集者は、吉本隆明が忘れがたい編集者として悼んだ岩淵五郎氏。古本屋でポツポツと買い集めた。ワイダ監督の「灰とダイヤモンド」の映画評で橋川文三を知った。村…

分からないもの(1)

●;テレビ、新聞雑誌、単行本などの露出が多い多才な中沢新一氏の『哲学の東北』(青土社)を鞄に入れて行き帰りに読む。著作が多い中沢氏の本は(正直言って)ついていけない。この本は対談とインタビューなどで、ま、易しい本。氏の本をまともに読んだとい…

●;不快なもの(2)

●;…「北朝鮮暗黒物語」(ニュースショーなどで見せられるこれでもかこれでもかのパターン認識映像)。「ひでぇ国だな」とだけは伝わってくるけれど、ただ、俗情と結託しているのみ…不快。危険をかいくぐって得られたフリージャーナリストによるむごたらしい映…

●;引用するコトバ(1)

「まけてくれへんか!」(JR西日本・福知山線運転手氏の車掌への無線電話) 「存在は裸形をおそれて幻影をまとう」(市川浩『精神としての身体』講談社・学術文庫) 「人間の魂の奥深くまで、善と悪は入れ替わり、ひそかな妥協を交わす」(ボードリヤール『…

●;快いもの/不快なもの

●;長患いの家族の病(ある程度予測していたが)悪い状態の報せが立て続けに。その事も(少しあり)落ち着かず、いらいらする。一方、気分の解放になるやもしれぬの攻め方がよく判らずオーバーに言えば「フレームワーク」「画が描けない」。つまり、いくらや…

●;「ワーキング・プアⅡ」を見る

●;今夏、NHK放映で「時のことば」になった感の「ワーキング・プア」第二弾。 ・印象に残ったシーン。二人の男児を抱え昼夜二つの職場を行き来する若い母親。お祭りに居並ぶ屋台を前に二人の子どもに「食べたいもの買っていいんだよ」と言う。(奥さん、子供…

下層の人、上層の人(3)

●;多作な人たちだが、ちょっとした感情の切れ端が棘にもなり、喉に引っかかって読まないでいた人の作品を読む気になる。藤原新也『何も願わない手を合わせる』(東京書籍・03年)と、辺見庸『眼の探索』(朝日新聞社・98年)を立て続けに読む。藤原氏の『東…

下層の人、上層の人(2)

●;週末、本田靖春著『我、拗ね者として生涯を閉ず』(講談社・05年)を読む。B5版・584ページほどの重たい大冊。分厚く持ち運びのには不向きの本だが、カバー表紙に納められている本田氏のキリッとした写真がいい。それに被せたタイトルの書体も力強い。背…

●;下層の人、上層の人(1)

●;下流社会の逆、「上層の人々」の形成のされかたに興味が興る。上流社会そのものではない。重臣たちの作られかたである。ある国策会社の子会社氏と喋った際、話の端々からその会社の慄然とそびえ立つキャリア組の存在が見えてきた。そんな会社は見たことも…

●;沢木耕太郎『危機の宰相』(1)

●;沢木耕太郎『危機の宰相』(魁星出版・06刊)を手に取る。ポル・ポトの伝記があるかなと思って図書館で伝記の棚を探していたらぶつかった。魁星出版というのは、聞いたことがない出版社。忠実な読者ではないが、氏の本は(大概)文藝春秋か新潮社だと思っ…

●;宮内勝典『焼身』〜(3)

●;宮内氏の『焼身』から拡がる「(本の)世界」。ろくに読まずにいた(知らないまま過ごしていた)世界、忘れかけていたことなどへ気持ち動く。スーザン・ソンダグ『写真論』に何が書いてあったか再読したくなる。1973年の「ベトナム戦争」でのアメリカと北…

●;宮内勝典『焼身』から

●;宮内勝典氏が『焼身』(集英社・05刊)を書くキッカケは、ガソリンを被って焼身自殺した僧侶の燃えさかる写真をこととしている。同時代的にというのは「記憶の捏造(=錯覚)」らしく、焼身自殺は1963年だそうだ。私も何かの写真集や雑誌のヒトコマでような…

●;宮内勝典『焼身』を読む

●;宮内勝典『焼身』(集英社・05刊)を手に取る。この作家を若い時から(多少)知っていて、デビュー仕立ての頃は小説も読んだものだが、最近はとんとご無沙汰していた。オウム事件の頃、加賀乙彦氏との対談か何かで「彼らを救うものはしかない」みたいな文…

●;頭の中が忙しいと〜

●;某日。打ち合わせやら相談事に時間がとられた上に「どう進めて行くか」を思案したりの時間を費やす。(結局、おメェ、頭悪いんだよ)と自虐気分。電話で約束した日時の変更が2件あって調整にスケジュール頭がぐちゃぐちゃ。夕方、人に会う約束をズボッと…

●;『嫌老社会』という本から(5)

●;《繭のようにコトバが紡ぎ出される本》というのがある。本の中で使われている「引用」や「注記」に「あぁ、そうだったのか」と教えられる場合も多々あるし、文中に使われているコトバから少しは読んでいた(あるいは知っていた)「本の記憶」(という糸)…

●;『嫌老社会』という本から(4)

●;長沼行太郎『嫌老社会』は考えさせられる本だ。《長くなった老後》に向き合っているのは認めても、なおを証さずに「問題の先送り」をしているのが個々人の実相である。60前後(団塊世代前後)の高年者の悩みとはく最大のご迷惑を誰かにかけるかしれないと…

●;『嫌老社会』という本から(3)

●;「60歳以上をと言い始めたのは、いつの頃からだろう?」。著者の長沼行太郎氏によれば、近世以降で1960年の国勢調査まで続いたという。「65歳以上」を「老年」としたのは65年の国勢調査からで、高度成長期にさしかかった頃にはの量的進化と自然年齢が乖離…

●;『嫌老社会』という本から(2)

●;『嫌老社会』という本で長沼氏が言っていることは、 今、考えるべきことは「の思想と技術」…につきる。 ●;(私らの眼前に)横たわっているのは、「超高齢化社会)の出現である。2015年…4人に1人が65歳以上の人々が棲む社会であり「長くなった老後問題」…

●;t『嫌老社会』という本から(1)

●;撤去されてしまったが都庁前の通りのホームレス諸君たちの「ダンボールハウス群」も、最近、退去させられたと聞く穂高涸沢のテント村のように上野の山で越冬する登山者のように青い天幕で競い合っていた「シートハウス」も、常磐道を車で走るときに隅田川…

●;「ダンボールハウス」という本

●;知り合いの編集会社で人を待つ間、出されたお茶など飲みながらその会社の書棚の「本」を眺める。建築関係やデザイン雑誌のバックナンバーがきれいに揃えられている。「書棚」もまたよくされている。『ダンボールハウス』(ポプラ社・05刊)という本が目に…

●;二つのドキュメンタリー

●;週末、NHK-BSで二つのドキュメンタリーを立て続けに観た。(正確なタイトルは失念したが)「ロシア司法・警察の腐敗」と題したドイツのドキュメンタリー作品(2003年)で、もう一つは「よど号事件;ソウル金浦空港管制官との通信記録」をスクープしたNHK…

●;戦争論を読む(2)

●;書斎でもないがPCの置き場所を別の部屋に移動する。ついでに溜まっていた文庫本や新書などを含め若干片づけ始める。駄本というか、禄でもない本を買い集めたものだ。中には著者から贈られた本もあるが、少しの間は棚に置いておいていたが(失礼ながら)永…

●;戦争論を読む(1)

●;「国家は国民の同意を必要とする」といった(前提的な言説を)ある「ブログ」で見た。あたりまえじゃん…とコメントした。pikarrr氏の言う「ちょい参加」である。フーコーが言っている「生政治」の領域に入っているのは、常識じゃん、と。ポール・ヴィリリ…

●;新書ブームだって…

●;「朝日新書創刊!」といっても(出版)業界人の誰も読者も騒がない「新書ブーム」についての《まなざしの快楽》…Picarrr氏》の見解。「新書ブームなるもの」は以前にもあった。持ってはいないがみすず書房ですら「新書」を出した(確かではないが…「大衆…

気になる言説(6)

●;時務情勢論を吐く警世家の文章に惹かれることはない。通りすがりの人である。ぶつかったり反発したり、影響をうけたということはない。ただ、自分と同質な感じを感じさせる文章家には惹かれ「追っかけ」になる。中井久夫氏も言っているが「文体は文章の肉…

気になる言説(5)

中井久夫氏の『時のしずく』(みずず書房)にこんなフレーズがあった。阪神・淡路大震災時の「災害被害者が差別されるとき」という一節の中で。いろいろなことが起こされた。 一般に「ステロタイプ」がないところに差別、少なくとも差別的感情はないであろう…

●;気になる言説(4)

●;週末、ある会合にオブザーバー参加。その会社の仕事(の実態)に触れたい欲があって飛び入り。初めての人たちに会う緊張もあって、気分を整えるため会社がある街に早めに行く。騒々しい街の一角にその会社はあった。見知らぬ人と相まみえる時の緊張感をほ…

●;気になる言説(3)

●;解読する訳ではないが松本健一氏の本『思想としての右翼』(論創社・00刊)で教えられたところあり。蒙を拓かれたのである。ボンヤリと通俗的な理解で済ませていた事柄が「ああ、そうだったのか」と。このあたりは感謝したい。もったいぶった書き方だが、…