●;佐藤優『国家の罠』を読む

●;手にするのが億劫だっただけで読むのを躊躇する理由は特になかったが、教えられ、感心し、ホロリとするところあり。「フーム」と考え込んでしまうところも。著者は「義」の人、殉ずる対象は「外交(国益)」と「友人」(鈴木宗男氏も含む)。

国策捜査」というコトバが、この本のキーワード。取り調べ検事が吐いたコトバ。「国家側によるけじめ」という意味か。ホリエモン氏や村上某氏の逮捕も「国策捜査」という説あり。委細は知らないが「出過ぎた杭は国家側から叩かれる」ということか。その「国家側」というのは単純ではないと思う。
氏の「被告人最終陳述」が載っていてる。

小泉政権成立後、日本は本格的な構造変換を遂げようとしています。内政的には、ケインズ型公平配分政策からハイエク型傾斜配分、新自由主義への転換です(略)鈴木宗男氏という政治家を断罪する中で、日本はハイエク型と拝外主義的なナショナリズムへの転換を行ったのです。

ハイエク型傾斜配分、新自由主義グローバリズムを同義として語る自信がないが、西部邁の言説を借りれば、その内容は「貨幣」「世論」「武器」「流行」「情報」。いずれも過剰なサプライを続けているもの。政治的には世論を最大のバックとするポピュリズム、経済的には貨幣の供給であり、軍事的には軍需体制国家・アメリカが主導する武器が消費できる戦場(の発見)。そして世界を駆けめぐる「流行」と「情報」の世界。
●;ポピュリズム(「世論」)を後押しするマス・メディアで代表的なものは、「週刊誌の中吊り広告(見出し)」と対になったワイドショー的報道エンタメ番組。トリックスター的人物を追いかけ、その断片映像を繰り返しなんども使用させ(用済みは直ちに切る)、大衆の怨嗟を集めて彼(彼女)に、標的を作って敵か味方かを語らせる。時には「自民党」「お役所」「抵抗勢力」「北朝鮮-金正日」「フリーター」「教科書」「教師、教育委員会」などなどが標的に。トリックスターは、田中真紀子、小泉などなどが。