2006-07-01から1ヶ月間の記事一覧

●;近づく本、遠ざかる本(1)

●;「本」は人である。当たり前だ。その「本」の存在を何かで知る。どこぞやのメディアが薦めていたり(誰かの)「引用」や「評価」が加わったり〜を知らされると、その「本」が気に掛かる。大概の「書評」は、秋波だ。じゃあ、その本をすぐ求めるかというと…

●;逃げた男もいるが、逃げた女も

●;大正末の犯罪事件史の一齣に山中を逃げまわった男の捕り物騒ぎに「鬼熊事件」がある。情婦の間男を殺害して山中を43日間逃げ回った鬼熊。この事件を知ったのは近くのそば屋などに置いてあった世界画報社のグラフ誌「日本近現代史」などだ。傲岸不敵な新撰…

●;《逃げる男》

●;クラウチ氏の《逃げる》おススメ本は『逃げる兵 高射砲は見てた』(渡辺央憲・文芸社)。(古処誠二(こどころ・せいじ)『遮断』(新潮社)は、当方の誤認、失礼)。 ●;同氏のコメントに浅田彰『逃走論』(ちくま文庫)というのもありましたね、と。確…

●;逃げた男列伝

●;吉村昭の『長英逃亡』(新潮文庫)に心惹かれた訳ではないが、歴史上《逃げた男》に関心が赴く。《逃げる》は、日常生活でもごく否定的に卑怯といったマイナスのニュアンスで使われる。唄の文句ではないが「今日でお別れね」と女に言われそうになった場合…

●;地霊;吉村昭《逃げる男》(1)

●;鈴木博之氏の『東京の[地霊]』(文春文庫)、『日本の地霊』(講談社新書)ほかで教えられたのだが、ゲニウス・ロギ>(ラテン語)という概念がある。精霊というのだろうか、その場所に漂っている精気のようなもののこと、経験的にもそこに蓄積されている…

●;新聞の白抜き見出し

●;新聞印刷技術史を紐解けばいいのだろうけど、「白抜き文字の見出し」がいつの頃から使用されたのか知らないが、は大きな「白抜き文字」の見だしが使われ、加えてモノクロ写真といっしょに構成される。新聞社整理部が作り出す構図、「視覚のデザイン政治学…

●;「本」から本」へ(2) 古井由吉『辻』(新潮社)

●;古井由吉『辻』を読み耽っている。この本の存在は知っていたが、「中井久夫を記憶の人」と記していた斎藤環氏の「本」から飛んで「記憶の人」ならと、古井氏の「本」へ飛ぶ。 ●;「辻」とは二つの道が十字型に交差している場所。何かとせわしい人の通りが…