2006-01-01から1年間の記事一覧

●;気になる言説(2)

●;松本健一氏の『思想としての右翼』(論創社・00刊)にこういう一節があった。 戦前の日本を支配していたのは右翼だ、という説がある。これは、おもうに、戦後民主主義のつくりあげた神話である。それが神話である所以は、戦後の日本を配していたのが左翼…

●;気になる言説(1)引用から

●;(安倍政権の所信表明直後)の「朝まで生テレビ」を見る。テレビ等でお馴染みの文化人(学者)や議員さんの発言レベルを推し量る。2チャンネル的な評価に倣えば、枝野幸男(民主党)議員、江田議員、村田教授(同志社大)…などは、ロジカルな人との印象…

●;松岡正剛「千夜千冊」が本に

●;仲俣暁生氏の「海難記」で松岡正剛氏のWEBサイト「千夜千冊」が書物(求龍堂刊)になっていることを知る。前夜たまたま、枕元にあった松岡氏の『知の編集工学』(朝日新聞社)を寝付くまで拾い読み、そのまま鞄の中へ放り込んでいたのも機縁。氏の「ブロ…

●;車谷長吉『忌中』…大衆社会の諸相

●;車谷長吉氏の短編集『忌中』(文藝春秋・03年刊)を読む。「群像」「文学界」などに掲載されたものを編んだもの。巻末の「忌中」を電車の中で読んでいて、回りの乗客たちのそれぞれの貌を見やる。車谷氏の小説やエッセイは、文学修行中の生活を綴った一連…

●;大衆社会って?

●;小泉首相は「ポピュリストさ」とはいとも簡単に言える。いつか野中広務氏が吐き捨てるように言っていたのを覚えている。氏がどんな意図で言ったのかは分からない。「小選挙区制制度」が政権党や野党の党首の人気が浮動票を牽引し「都市VS地方」の中選挙区…

●;ポピュリズム(5)

内田樹著『知に働けば蔵が立つ』(文藝春秋・05刊)は、氏の「ブログ」を基にしていて(いつか読んだものが含まれているが)通俗的に(=判ったつもりの)こチラ側は簡単に「大衆社会」と言うタームを使ってしまうけれど、通俗的な口舌の徒である私(ら)は…

●;ポピュリズム(4)

●;「感情的ポリティクス」というキーワードを発している宮台真司氏の「プログ」を引用すると、 …世界的に「感情の政治」が隆盛で、特に米国は「感情ゲーム=私」を超克する「契約ゲーム=公」が崩れてきた。第一に、感情に社会的正統性を与える宗教が、メデ…

●;ポピュリズム(3)

●;060901朝日新聞社会面に「加藤紘一邸放火犯が供述」という記事があった。「見出しの視線の科学」のせいか「閑職、死に場探して」という文字が目に入った。(正確な記憶ないが)リストラされたブリジストンだったかの社員が役員室に詰め寄り自殺を試みた事…

●;ポピュリズム(2)

●;山本七平『空気の研究』(文春文庫)を読んでいて、この本の「キーワード」になっている《臨在的把握》というのが(今ひとつ)判らないでいた。普段使わない言葉のせいもある。《臨在的〜》を「思いこみ」と解すれば〜という人がいた。助かる。他には今泉…

●;ポピュリズム(1)

●;田原総一郎が吠えたことに因果関係があるのかわからないが、06/08/28の朝日新聞「コラム」で論説主幹・若宮啓文氏が「足元の右翼テロと闘わなくてよいのだろうか」と小泉首相や安倍長官らの加藤紘一邸事件への「沈黙ぶり」を批判していた。「よもや、この…

本に近づく(読む)理由(2)

●;寝入いってしまい、つけっぱなしのテレビ「朝まで生テレビ」(テレビ朝日)が光っていた。「あぁ、あの人ねぇ」と、お馴染みの論客?たち。田中均氏…元外務省審議官の話は聞きそびれた。司会の田原総一郎氏が「加藤紘一邸放火事件後、朝日新聞をはじめ各…

●;本を買う(読む)理由(1)

●;書店などで「本」を買い求める理由の一つに「自分と(何かで)を発見した時がある。車谷長吉のエッセイ集『文士の魂』(新潮社・01年)をつまみ読みしていたら、嘉村礒多を読みはじめた動機が氏の本名が「嘉彦」だそうで「嘉(彦)」という「同名の一字」…

●;「メディアカバー」というコトバ

●;「立花隆のブログ」を読んでいたら、 靖国参拝のように、100%のメディアカバーがある中で行われる言行は、いかなる意味でも「心の問題」の論理で済ますことができない言行となる。それは必然的に国家を代表する公人の言行として、その行為それ自体が発す…

●;墓参りで「人」に会う

●;小泉首相が靖国参拝するかどうかとかまびすしい盆の入り、高速道路を駆け抜け墓参りを済ませる。父母が育ったの農村家庭(家族)のそれぞれの。《儲からない米作》、《高齢化社会》、《気になる》、従兄弟たちの息子、娘たちは「正規社員就職組もあれば、…

●;「人」と会う(1)

●;先週〜今週、いろんな人と会う。いずれも「企画(めいた話)」。こっちが考えたものを揉んでもらったケース。ま、コンセプト樹立以前のブレスト。相手が長年温めていた「企画の実現可能性の相談」も。「やれるかな」と瞬間に思った程度の話も(知り合いの…

●;「本のような人」に

●;先週末、後輩と一緒に某社の編集長氏と会う。「居場所」について喋る。こっちは一生懸命に話すのだが、氏のノリが悪い。小出版社の経済的(流通的)構造問題を(改めて)知らされる。「(売れる)商品企画!」で済む話ではない。新流通形態をヒョイと考え…

近づく本、遠ざかる本(2)

●;暑い土日、クーラーの効かない部屋にいると、身体が要求しているのでもないのに水分ばかり取ってしまう。身体の中心から力が抜けて行く感じ。「緑陰読書」と決め込む訳ではないが丈の高い欅の樹々が陽を遮ってくれる公園のベンチで本をひろげる。車谷長吉…

●;吉村昭さん逝く

●;吉村昭氏が亡くなったことを新聞で知った。突然の死ではなく、たぶん、その病の重さを知っていた文化部の記者たちは当然のように予定稿のような記事を掲載していた。「歴史学よりも詳しい著述家」などと語る歴史学者も、まぁ予想どおりである。いわゆる文…

●;近づく本、遠ざかる本(1)

●;「本」は人である。当たり前だ。その「本」の存在を何かで知る。どこぞやのメディアが薦めていたり(誰かの)「引用」や「評価」が加わったり〜を知らされると、その「本」が気に掛かる。大概の「書評」は、秋波だ。じゃあ、その本をすぐ求めるかというと…

●;逃げた男もいるが、逃げた女も

●;大正末の犯罪事件史の一齣に山中を逃げまわった男の捕り物騒ぎに「鬼熊事件」がある。情婦の間男を殺害して山中を43日間逃げ回った鬼熊。この事件を知ったのは近くのそば屋などに置いてあった世界画報社のグラフ誌「日本近現代史」などだ。傲岸不敵な新撰…

●;《逃げる男》

●;クラウチ氏の《逃げる》おススメ本は『逃げる兵 高射砲は見てた』(渡辺央憲・文芸社)。(古処誠二(こどころ・せいじ)『遮断』(新潮社)は、当方の誤認、失礼)。 ●;同氏のコメントに浅田彰『逃走論』(ちくま文庫)というのもありましたね、と。確…

●;逃げた男列伝

●;吉村昭の『長英逃亡』(新潮文庫)に心惹かれた訳ではないが、歴史上《逃げた男》に関心が赴く。《逃げる》は、日常生活でもごく否定的に卑怯といったマイナスのニュアンスで使われる。唄の文句ではないが「今日でお別れね」と女に言われそうになった場合…

●;地霊;吉村昭《逃げる男》(1)

●;鈴木博之氏の『東京の[地霊]』(文春文庫)、『日本の地霊』(講談社新書)ほかで教えられたのだが、ゲニウス・ロギ>(ラテン語)という概念がある。精霊というのだろうか、その場所に漂っている精気のようなもののこと、経験的にもそこに蓄積されている…

●;新聞の白抜き見出し

●;新聞印刷技術史を紐解けばいいのだろうけど、「白抜き文字の見出し」がいつの頃から使用されたのか知らないが、は大きな「白抜き文字」の見だしが使われ、加えてモノクロ写真といっしょに構成される。新聞社整理部が作り出す構図、「視覚のデザイン政治学…

●;「本」から本」へ(2) 古井由吉『辻』(新潮社)

●;古井由吉『辻』を読み耽っている。この本の存在は知っていたが、「中井久夫を記憶の人」と記していた斎藤環氏の「本」から飛んで「記憶の人」ならと、古井氏の「本」へ飛ぶ。 ●;「辻」とは二つの道が十字型に交差している場所。何かとせわしい人の通りが…

●;「本」から本」へ(1)

●;奈良の放火殺人事件に格別の驚きや感慨がある訳ではないがについてを通俗的ではなく、きっちりと掴まえたくなり、たまたま、斎藤環『若者のすべて』(PHP研究所)を手に取る。仕事になるかもと、小さな準備の面も少しはある。某社の編集長氏との雑談で「…

●;金曜日、一日中ダベる

●;前の会社の後輩氏に同僚デザイナー氏の「作品集」(ロゴタイプなど)見せられる。先週だったか、後輩氏らに引き合わせた某社の女性が渡された「会社案内」を見て「ワー、オシャレ!」などと呟きながらしげしげとそのパンフレットのページをめくっていた。…

●;「ブックオフ本」一読(2)

●;家近くの「ブックオフ」で須田伸『ブログる!』(アメーバブックス)、池田信夫『ネットワーク社会の神話と現実』(東洋経済新報社)の2冊を210円。隣りの「ヴェローチ」でページをめくる。須田氏の本はタイトルも装幀も本文の組み方も「ちょっとなんと…

●;「ブックオフ本」もいい(1)

●;一時期、「ブックオフ」は業界人の評判が悪かった。店員さんの異口同音の甲高い「いらっしゃいませ!」のかけ声はヤな感じだとか、本は目方で買っているとかの声がかまびすしく囁かれ「大量生産-大量配給の出版システム」(80年代〜90年代の過剰生産業界…

●;昭和天皇(3)

●;昭和天皇について関心が生まれたのは、玉音放送の中の一句、「五内に裂く」にある。 朕は帝国と共に、終始東亜の開放に協力せる諸盟邦に対し、遺憾の意を表せざるを得ず。帝国臣民に>して、戦陣に死し、職域に殉じ、非命にたおれたる者、及びその遺族に想…