●;ポピュリズム(3)

●;060901朝日新聞社会面に「加藤紘一邸放火犯が供述」という記事があった。「見出しの視線の科学」のせいか「閑職、死に場探して」という文字が目に入った。(正確な記憶ないが)リストラされたブリジストンだったかの社員が役員室に詰め寄り自殺を試みた事件を思い出した。命を賭してまで行動に踏み切るのは、相当に腹に据えかねたものがあったのだろう、と想像したが、この右翼氏の行動から感じられるのは、リストラされた社員同様に<無援の孤立感>。「経済的な不安」もあろう(これが大きい)、よりすがる(右翼)団体での閑職処遇(=リストラ)のせいと、こっちは勝手に想像してしまうが、ジャーナリスト諸兄は「事実」を正確に伝えてほしいもの。「右翼、テロ、言論弾圧」とだけ短絡的に括っても情況を分析したことにならない。むしろ、組織の論理でリストラされる社員と同位に見るべき。
●;大正10年だったかの安田善次郎翁を刺殺した朝日平吾の遺書などをベースに『超国家主義の諸相』(筑摩書房)を著した橋川文三論文の記憶が生々しい。当時の鬱屈した一青年のテロが引き金となり地下水のように「超国家主義」を後押していく。この右翼氏の凶行は誰しも哄笑しながら小さな事件として扱っているが、世間を覆っている老若男女それぞれの<孤立> と無縁ではない。