●;気になる言説(4)

●;週末、ある会合にオブザーバー参加。その会社の仕事(の実態)に触れたい欲があって飛び入り。初めての人たちに会う緊張もあって、気分を整えるため会社がある街に早めに行く。騒々しい街の一角にその会社はあった。見知らぬ人と相まみえる時の緊張感をほぐすために、偵察ほどではないが事前にその場所を<探る>ことがある。雰囲気慣れというヤツである。会議では誘ってくれた人が司会役になっていた。その仕切具合を黙って聞く。
●;会議中にヒョイと発言する。出席者のある人が結構大事なことを言っている気がして、外部の人間が物申すのは場面としてやや僭越なところがあった。場の雰囲気にもそんな感情のさざ波が小さく起きたように思えた。こういう場面で短絡的で、瞬間的な発言をしてしまうのも、存在を誇示したがるパフォーマンス好きのなせるワザだと後で気付いたが。頭の中に「企画めいたこと」が膨らむと、それを解き放ちたくなる。頭の中だけが饒舌になる。傲岸不遜なヤツと思われたかもしれない。
会議後、飲み会に誘われる。「何十年か前にお会いしたことがある」と言う人が現れた。その場面を思い出せなかったが、「あの頃とちっとも変わりありませんね」と言われた。(そうかもしれない。そうではないかもしれない)。飲み会では、議論好きの連中に、少し突っ込まれて疲れる。
●;翌日、近くの図書館へ行き「群像」掲載の原武史「滝山コンミューン」を拾い読み。右翼の源流たる西郷隆盛のことが気になっていたので、何年か前の江藤淳『南洲残影』(文藝春秋)を開くも、刊行時の時代の気分に重ならないのか、なかなかついていけぬ。本屋で中井久夫の新刊『時のしずく』(みずず書房)を見つける。氏の文章は(いつもながら)読む者を凛とさせる。神谷美恵子須賀敦子についてのところなどが、それ。