●;『下流社会』(三浦展・光文社新書)

●;コンテンツ業界の一隅に居る若い人とたちとの「議論の場」として長く設営している「わいがや;②」で三浦展下流社会』(光文社新書)を取り上げた。コンテンツ業界も「社会の流動化」によるさまざまな変容を強いられているが、当然、耳目を集めたベストセラーに関心が行く。まして「格差社会」というコトバの常態化にまで進んだキッカケの一つは、この本の登場もあっった。
●;この本を取り上げようとした人の意見では、「ユニクロ」や「無印良品」などの低価格雑貨やファミリー向けミニバンの流行が高額所得者層にも浸透していることに象徴されるが、スローライフ的な趣味、趣向の問題だとは言いつつも、消費を牽引しなければならない高額所得者層の心理に「自分はこのような立場に居る人間ではない」というような自省的な観念が働いているような気がしてならない…であった。彼らのところまで落ちたくないという<不安>をかき立てているのは、<少子高齢化社会>で生きぬくことの不安でもある。
●;「上流の人々」を身近に知らないが、彼が言うように「上・中流の人々」がいるとして彼らが甚だ自信を亡くしているような印象を受けなくはない。その彼は「欲望の減退」と言っているが、俗に言う「やる気」の方向が見えない「不安感」が「(私ら)下流中高年」も含めて覆っている。閉塞感というよりも不安感だろう。経済的不安定感とよりすがる(家族も含めた)共同体の不在感というやつ。