●;通俗用語辞典(8)…「保守派」という人」

●;「私、保守派です」と名乗る「人」がいる。今時「左翼」も「右翼」も名乗ることのピンボケぶりは笑っちゃうのだけれど「左翼」勢力(例えば50年代ぐらいまでは「東側世界」が想像的共同体として理想化されていた向きがあったし)が旺盛だった時期にその勢力に対抗して「右」を唱えることは、イデオロギー的にも現実的にも意味があったと思うけれど「今、それを唱えることの時代遅れ」を嗤ってしまう。<彼>は、<左翼的>なインテリゲンチャにつまらぬ対抗心があって(インテリコムプレックス)そう名乗っているだけだ。「こんな人」は高校生の時も大学生の時もいた。高校の同級生で「男」にも「女」にも持てない男が突然、益荒男ぶって「天皇」だの「大和心」だのを言い出したのをよく覚えている。その時は「なんかムリしているな」とか「ダサイ男」と内心でなじったものだ。別に都会的な高校ではなかったけれど、彼の「田舎者臭さ」に対してだ。「田舎者はすぐナショナリストになる」とは、その時以来の直観だが、<ある種の引け目>を一挙に挽回してみたい心性みたいなものは自分にも「あった」から理解出来なくはないが、それにしてもいきなり「天皇」や「国体」を持ち出すのには、どこかムリがあると思っていた。つまり「保守派」といえば「親米愛国派」であるにもかかわらず、彼は「親米派」とは言わないし、「愛国」の根拠を問えば、私でも言える「愛郷心」程度のことしか言わない。