場所(3)…国家の土地

●;新聞やテレビで報じられる「国家財政の赤字」について分析的なコトバを持たない。鈴木博之『東京の[地霊]』(文春文庫)で教えられたのだが、中曽根政権の民活路線の中で最初に民間に払い下げられた第一号知は、港区六本木一丁目の林野庁宿舎。払い下げを受けたのは、森ビルグループなどである。本によるとこの土地は静寛院宮邸地(後に梨本宮、東久邇宮邸)だそうで、いずれも「悲劇の人」たちである。静寛院宮とは、徳川家茂に降嫁した皇女和宮であり、東久邇宮も戦後の終戦処理内閣の首相を三ヶ月ほど務めた。二人とも「人身御供」の存在であろうか。