●;通俗用語辞典(5)…人脈

●;「人脈」…今時のコトバでは「ネットワーク」というのだろうか。身近の凡庸な人をあげつらってもしようがないが「○○さんの<人脈>は凄いっすね」みたいなヨイショされると(「なんだ、コイツ」!)と、それまでの彼への好感が消し飛ぶ。虫酸が走るような身体的な嫌悪感が生まれるのはなぜだろう。別に自分が費やした「人材コスト」の多寡を誇っているのではない。<人との繋がり>がいとも容易く出来ると思っているパラフィン紙のような心根の薄さが透けて見えるからか。はたまた、<知っている人>の「量」にひれ伏す思考の単純回路に嫌悪感が募るからか。碌でもないのは「集めた名刺」が「○○枚」と数量だけ自慢の恥知らず「貧困野郎」だ。こんなヤツにたまに出くわす(いや、ごく若い時には名刺フォルダーに○○企業、▽▽会社のナントカ部長やカントカ課長の名刺を貼り付けて妙な安心感を持っていた覚えがあるから、他人様のことはとやかくは言えないが)。「異業種交流会」的な集まりをエスケープするのも、こんな安手な手合いに<若い自分>を見つけるからだ。
●;また、たかだかのアメリカ体験なのに「アメリカのネットワークは日本とこんなに違う」みたいなことを「非アメリカ体験派」の私(ら)に説教するバカもいる。そいつには「アメリカ人種図鑑」でも紐解いてみたのかい?と腹の底で嗤ってしまう。アメリカには駆け足で一度っきり。東部も西部も南部もマフィアもアイリッシュもポーリッシュもろくに知らないが「もっとミクロに語れよ!」と言いたくなる。それぐらい<人の繋がり>というやつは、歴史も空間も性も民族も人種も政治もが絡まっている地下茎なのだ。そう、<人の繋がり>は植物的。剥き出しに繁茂しているツリーもやがて物悲しく枯れもする。