●;通俗用語辞典(2)…「わかる」

●;わかる…「わかる、わかる…」とつい言ってしまう。「判る、分かる、解る」など文章上では、ニュアンスによってけっこう漢字を使ったりするけれども、日常では簡単に「わかる」という平仮名的な相槌を打つ(相手に合わせるために)。そう、相手に迎合したくて、あるいは「頭悪くない」と見られたくて。
もじれの日々」の文中にこんな記述があった。コトバに豊穣感あり知的。つまり、深みと厚みがある。

誰か(そしてその人が言っている「何か」)を<わかる>、というのは、実は、その人の声の響き、声の抑揚、表情、表情の変化、表情の変化の速度、視線、視線の角度、視線の角度の変化、視線の角度の変化の速度、着ている物(ヘンなセーターか、かわいい編みこみセーターか)、予期されない事態への応答の仕方、応答の速度、髪の毛(がどのくらいもしゃもしゃか、その量、量をどう話題にするか)、肌の艶、手触り…を含めて<わかる>、ということなのだ(当たり前か)<わかる>ことができる機会を渇望してしまうし、<わかる>ことによって良かれ悪しかれ前に進める、と。

反対(語)…無言(またはさりげなき沈黙と無視)