●;ニイタカヤマ ノボルナ!(1)

●;「ニイタカヤマ ノボルナ!」と題された40ページほどのワープロ版冊子を、12月8日(木)に執筆者の一人から貰った。その日は、日米開戦の日であった。真珠湾攻撃の暗号は「ニイタカヤマ ノボレ」であったそうな。
発行元は「主権在民!共同アピールの会」という有志の人々で、《「主権在民」を空洞化させ、この国を戦争の出来る、する国へと改憲する動きに異議を唱えたいというもの》。15人ほどの文筆家、評論家、ジャーナリスト、学者らが「靖国神社」に祀られている(祀られていない人にも)個人に向かって手紙型式で書いてある。この「手紙集」(冊子)は靖国神社に届けたそうだ。け取った神社側の対応、受け取った宮司らの当惑顔などのエピソードが知りたい。テレビも新聞も黙視したそのシーンを届けた連中が記すべきである。エピソードの伝搬が運動を作るということもある。
●;手紙の執筆順に記すと、元木昌彦吉田司森達也、野中章弘、ジャン・ユンカーマン佐藤文明、井家上隆幸、江川紹子、吉岡忍、目取真俊石坂啓、池田昌彦、三上治金子勝、日名子暁氏らである。見知った人もいれば(失礼ながら)そのお仕事ぶりがわからない人もいる。それぞれの視点で書かれてあり、問題提起的なもの(吉田司氏)もあれば、「へえ」とか「フムフム」などと(森達也、井家上隆幸氏)感じ入ったものもある。言いたいことは判らないではないが(切れ味悪い)未消化の文章(三上治氏)もある。また、従来型の「反戦的な論調」を抜け出ていないのもある。「祀る人に手紙を贈る」という方法を選んだ時点で、彼らは象徴型式を選んだ、といえるのだが、自分の政治思想的見解を述べるに留まっている人は、ダメである。