●;イヤな感じ(1)…ある会社

●;経験的にだが<イヤな感じ>の会社は、すぐわかる。玄関や受付の雰囲気によってである。その門が開かれているか閉じられているかのとぢらかである。今時、受付嬢を正社員で置いている会社はなく派遣社員が大半であろう。今日、訪ねた会社の派遣っぽい(別に差別的に言っているのではない。その落ち着きのなさにそれを感じた)受付で「あぁ、ダメだ。この会社は」と。会社の玄関近くで昼飯時に帰社する若い社員たちの貌つきを見て「×」の印象を持った。暗い表情の一群であった。胸に「入退室ICカード」をぶら下げてはいるものの、その会社の社員たちには<明るさ>という跳ねるような顔つきの人がいない。楽しんで誇りを持って働いている感じがしない。社員たちが卑屈になる<何か>があるのでは、とさえ思った。
こういった情報系会社(システム系であれ、コンテンツ系であれ)の社員たちは、大概、その「カード」の保有者であることをこれみよがしに、どことなく誇らしげな意識-無意識が漂っている。「オレたち、IT技術者はそんじょそこいらの会社とは違うぜ。遙か遠い世界に住んでいるんだぜ」といった差異感がある。世間に対する対抗心のようなものである。そういった気概の存在を心地よく感じる時がある。だが、この会社にはそれがない。「カード」は収監された囚人の整理名札のようである。
●;セールス電話が掛かってきて「お会いしましょう」と出かけた。新興の上場会社なるものの一端を覗いてみたいという「燃える下心」からであった。こっちの名前を出して受付嬢に面会の約束が〜と申し出る。受付嬢の間近にガードマンが立っている。彼女らを守るのか、会社に入ってくる暴漢を防ぐのか、無表情で威圧的な(従って貌を覚えられない)風情である。
「何をガードしているのかね?」。
既に、客としての当方の印象は減点気味。さらに受付嬢に「下のお名前は?」と誰何される。名だたる会社の受付で名刺を出したことはあるが、姓を名乗ったら名前まで聞かれたのは初めてである。たぶん、お相手の人物と<私>とが会った記録をどこかの部署に届けるのだろう。ムダな「記録集め」とチェックがコスト高になっているのが判らないバカな経営者。
●;上のフロアに行くために乗ったエレベーター内に張り紙が眼に入る。「エレベーター内では社員は私語を止めましょう」とある。「ゲッ!」てなもんである。なんとまぁ、幼稚な会社よ。エレベーターにどんな客が来ているかを察知しないまま、職場仲間でおしゃべりに夢中になっている会社はダメ、論外である。いずれ縮小するか消えて無くなる方向に向かっている。気が付かないのは内部の人間だけである。「社員の幼児性」を躾する問題ではない。訪れる客を外部性として捉えていない経営者の幼児性がミエミエの会社にうんざり。お相手してくれた男性とはヒアリングが主だったが、話が弾まない。結果として噛み合わない。彼は「会社のシステムを売りたい」だけ。こっちの事情やらを想像して組み合わせを図ろうとする「マーケット頭」の悪さのみが目立つ。早々と退散。