組織の面白さ、つまらなさ (2)

●;人材系会社の女性たちを中心に「わいがや③」を始めた動機の一つに、たまさかいたある会社で体験した<判らなさ>を再構成したいというのがある。よく考えてみたい。その会社の創業者が語った「組織が面白いのだ」というコトバを分解したくなった。人材系会社の女性たちが胸を張って仕事をするような応援をしてみたいという殊勝な(その実、ゲスな)気もある。お節介野郎の品性の悪さがそうさせる。
●;「いい人材を確保出来ない企業は沈没する」といった脅迫?で「お手伝いしまっせ」とリクルートなどの採用PR会社は迫り、「お求めのいい人材がおりまっせ」と人材会社は斡旋する。「安い人材を派遣しますよ」とは、派遣会社。昔で言う季節工を導入する人材請負会社のアプローチ。リクルート社が切り開いた「新卒〜中途人材確保」競争の流れが数々の人材アウトソーシング業を生み出している。これは30年前にはなかった現実の一局面だ。派遣会社などを指して「口入れ屋じゃん」だと言った男がいる。こういう士農工商意識まるだしの男は大嫌いである。「商流」や「物流」、あるいは「情流」は認めても「人流」を(根底では)認めようとしない。重厚長大型メーカーが持つ権威主義的なブランドの優位でしか「商流」を考えられないタイプだ。旧いだけである。
●;江戸時代に生まれた「口入れ稼業」は人宿とも呼ばれた。家康によって江戸という新都市が生まれ(家光の時代に)参勤交代制度が制度化されて、大名の妻子は江戸に住まわざるを得なくなる。かくて、上屋敷下屋敷には、中間、若党、草履取り、女中などの武家奉公人が必要になる。彼らを大名家に斡旋し、手数料・ピンハネといった中間搾取で財をなす業態が生まれた。膨大な武家奉公人を必要とした<縛り>が新業態を生んだのである。
現代の「(派遣)人流」は、企業の固定費切り下げから起こっているが、それだけを指して「儲けている」といった側面から言うはおもしろくない。メーカーであれば「研究開発費」、流通サービス業であれば「ハコとシステムの巨大さ」(膨大なコスト)を要することになったのが資本主義の現在である。
●;50〜60年代初頭、彼らを供給したのは都市のヒンターランド。島倉千代子の「東京だよ、おっかさん」も、井沢八郎の「どこかに故郷の 香りをのせて 入る列車の なつかしさ 上野は俺らの 心の駅だ くじけちゃならない 人生が あの日ここから 始まった」のフレーズは、農村から東京へ出て来た者の惹かれ唄であった。現在の惹かれ唄は何か。