●;年賀状始末記(4)電話しまくる

●;年賀状の返事を出さなかった人で気になる人がいる。どこかで<記憶に残る>人たちである。ちょっと厄介な仕事の合間の息抜きにといっては失礼だが、立て続けに電話を試みる。何年も会わないでいる人ばかりだが、一瞬の声を聞きたくなる。ただ、電話というものは暴力的なもの。相手を忖度しないでこっちの都合でかける。一方的・攻撃的になる。具体的な用件があってなら別だが「元気でしたか?」程度で始まるとりとめもない話につき合わされるのもたまったものではないだろう。セールスの電話に素っ気なく断るどころか怒ってしまうのは、見知らぬ人の声がいきなり胸ぐらを掴まえるような理不尽さ、つまり<暴力の相>を示すからだろう。誰とも話したくない時、侵犯されたくない場合もある。
●;<ある人>は懐かしそうな声を発して応えてくれた。<別のある人>は、億劫そうとまでは行かないが、口裏を合わせるような話に終始した。(あっ、そうなんだ)。話調が重たい。その重力を感じ取るまでに時間がかかった(鈍い奴じゃ)。「どっと、疲れたわ!」と受話器を放して呟いたであろう。なにもこっちの側の報告やらを喋っただけではないが、やはり<一方的>過ぎたのだ。色恋の相手ではない。鮮やかな邂迦のイメージをこっちに残像としてあるのが実は滑稽で、その<像>はこっちが勝手に描いていただけなのだ。時間というやつは、新たな日常を作りだしている。時間というコミュニケーションコストが掛かり過ぎた。彼もしくは彼女のエネルギーをいたく消費させた、かも。