● 10年後の読者(2)

● ミーハー的な意味で言うのだが、東浩紀氏は<やんちゃな青年>の趣があった。顔つきも含めて戦闘的で好感を持った。ナイスガイである。主宰者側の意図をくみ取ったのではないだろうが、モデレーターの仲俣暁生氏が「出版業界にとっての読者は?」という投げかけたのに対して「そんなの旧いよ」といいだけであった。

実際、旧い。活字側の連中は、ある時は雑誌を、別の時はテレビを、今度はネットをと踏み込むことすらしないで目の敵にしてもの申すことが多い。友人たちでもそういうのが多い。「読む」という行為を教養主義的に考えていることが旧いし、情報文化の進展について考えようとしてない。つまり、資本主義の進化について「左翼的」にしか捉えていない。彼らの原点が旧制高校的な20世紀初頭の情報文化を基にしているのではないか、とさえ思う。そういう雰囲気の会合やら駄弁りには付き合う気がしない。先週末に誘われた「飲み会」も同世代の同業者がお互いを慰労しあうような趣旨のものであった。別件があって断ったのだが、腹の底では「そんなヒマはねぇぜ」。