● スペック

● ある人の「ダイアリー」を読んでいたら「あの人たちのスペックの高さ」という表現にぶつかった。これまで自分は一度も使わなかったことばだ。この語感がピント来ない。辞書的な意味ではわかるのだが、そこに価値評価を籠めている。そこが判らない。
能力の高さとかを言っているのではないようだ。工学的な言葉が日常語として使われるのは、コンピュータがふつうの道具として彼女らの身の回りに最初からあった世代だからだろうか。

ちょっと前にある会合の後、大手商社出身の某氏が「スペックもなしに(詰め切っていないという意味であったろうか)よう、仕事を受注したな」と皮肉られた。この時は、仕様書の不在を言っていたので「ああ、そういう企業文化の中にいたのだな」とむしろ笑ってしまったが、「ダイアりー」の書き手のように価値評価的に言っているのではなく、意味論的な批判だと思った。