● ロバート・デ・ニーロ

● 衛星放送の深夜番組で「ヒート」を見る。アル・パチーノロバート・デ・ニーロ主演のギャング映画。このイタリア系俳優のふたり、酔っ払い系のアルよりも怪物系のデ・ニーロの方が好き。たぶん、『タクシードライバー』の怪演が印象に残っているからだろう。映画自体は、途中から結末がわかってしまうようなメロドラマであったが、ついつい最後まで付き合ってしまった。デ・ニーロが<好き>だからである。<含羞の人>を好む。『恋におちて』(84)で、書店で出会ったメリル・ストリープにデ・ニーロが近づく。恋をすればするほどはにかむ。その表情にはしたたるほどの<こころ>が溢れていた。<怪異な人>が好きだ。『タクシードライバー』でテロリスト(=凶器)になる瞬間も、『ミッション』でもそうだった。自分の中の異物を照らされたような不快な気持ちにさせられた。<変化する人>は、こっちの表層を剥ぎ心の肉塊から血が湧き上がるのを受感させる。(演)劇的な人といってもいい。歴史上の人物では、後醍醐天皇というのもこんな人ではなかったか。