●人の紹介の後

●営業的プランナーの再就職にあたって、その会社幹部による「鳩首会議」で決定打を放ったのは、ムツカシ専務であることが判明。よくある話、予想した通りの展開だ。初対面でもえらく私らを警戒する風であったが、彼にとって使いやすい人物が欲しかっただけである。眼下の部下がである。そもそもがその社長の後輩にあたる知人から相談を受けて、それならば人肌脱ごうと「後輩」を送り込もうとしたのがきっかけ。社長が言ったのはプランナー、ところがムツカシ専務の下で働く忠実な営業マンが必要だったのが真相。このボタンの掛け違いは、こっちに「非」はない。断然、強気になれる。老社長は、リップサービスで「いつか、ビールでも飲みましょう」とか言ったが、断然、お断り。

むしろ、老社長がムツカシ専務の一声に弱いことがわかっただけで、もうこの会社に興味がなくなった。この程度のPR会社では、老社長の顧客開発営業ルートがあっても永久ではない。会社は存続するためにある。会社は彼のものではない。会社の枯渇を防ぐのは制作能力を担保にすること、その確かな(社会的な)メソッドしかない。紙とかPR誌とかWEBコンテンツ作りで一等地を確保しなければ、小さな会社は吹けば飛ぶ。そのことが判っていない老社長にとんと関心なし。「貸した本、返せ!」。山口昌男『挫折の昭和史』(岩波書店)でけっこう高い本だ。くれてやるつもりだったが、急に欲が出る。

後輩くんからは、健気なメールが来た。「断られたことは、今の仕事をしっかりやれ!という暗示だと理解しています」と。今の自分には仕事を回してあげる余裕はないが、彼の能力を売ってあげようという気持ちが高ぶる。多忙極まりないが、諸所に働きかけとしようか。