●草野球場で

●土曜日、大宮駅西口からタクシーで健保球場へ。寝坊して集合時間に遅れる。今日は選手ではない。一日中行われる「草野球大会」の応援のため。昨年は半年ほど毎土曜開催のある講座に通ったせいもあってチームから遠のいた。遠ざかってしまうと草野球のことが意識から抜けてしまう。メンバーのことも忘れがち。しばらくぶりに草むす球場で一日を過ごしてみようと思った。会っていない連中もいる。

球団のマスコットガールのN嬢が来ていた。なかなか聡明な女性だ。そのN嬢は起き抜けで電車に乗って来たのだろうか、髪も梳かずに化粧ッ気なし。意外と色が黒い女性だったなとつまらぬことに気がつく。
遅れて応援にやって来たO氏は、細君と別れて20年、ガン手術5年、ずっと独居暮らし。最近は勤め先をお払い箱になったらしい。働かず、どこへも出かけず、引きこもりとか。「応援に来なさいよ」と誘ったのは豪気ながらやさしい前監督、やって来たのはいいことだ。草むらに座ってO氏としゃべる。
「なんか、やる気が起きないんだよ。ガン患者特有の倦怠期なんだそうだ」と自分のことを客観的に語る。
うなづきながら「見栄を張った方がいい」と私。男の見栄、ニンゲンの見栄、生きている証としての見栄という意味だ。

第一試合は出だしこそハラハラしたが圧勝。問題は第二戦だ。相手チームこそもっとも強い相手なのだが最初の試合に打ち勝ったせいもあり、昼飯を食べたことも加わってチームの空気にだれた感じがある。緊張感がない。談笑が多すぎる。みんなが簡単に勝てると思っているのか淀んだ空気がある。指揮官でもなんでもない私はベンチに入ったまま黙っているしかない。案の定、エラーで3対2で負けた。