●『ダビンチ・コード』周辺

●友人の出版社で出している本で『マグダラとヨハネのミステリー』(三交社)があり『ダビンチ・コード』(角川書店)という米国などでベストセラになっている本に参考文献として引用されていると教えられた。『マグダラ〜』を読み始めたが、キリスト教史の素養がないため(他に目を通すなどが多すぎることもある)読み進めない。

宗教史に詳しい同社編集長らとの雑談。
「『ダビンチ〜』が60万部実売らしい。どんな読者が買っているのだろう」
「歴史ミステリー好きが分厚くいるってことかな」
「<歴史の謎解き>ブームって何年かり周期で起きるのかな。陰謀論の流行とも関係あるな」
「冷戦構造の崩壊が、民族運動の勃興と関係あるんじゃないかな。民族のアィデンティティ確立、自己同一化欲求が民族のマイナーな秘儀を掘り起こしているのと」
「これまでの体制が父性原理的、その揺り戻しとして母性原理的な考えが対抗軸として現れる。転換期だからか。花田清輝の『転形期の精神』というやつかな。読んでいないけど」
「マグダラは娼婦。<娼婦的なもの>が叡智だとする説の登場とか。<娼婦>は惜しみなく、誰にもその肉体を与う存在と見なす。現実の娼婦のことではない。<像>としての<娼婦>だけどね」