●やけに忙しくした一日

● <忙しさ>が襲って来たからではない。自分で気忙しくしてしまった一日。地下鉄駅の出口から抜ける路地でS書店のハセガワ氏とバッタリ。一年ほど前にもこの路地で会った。岩田宏が「神保町一丁目三番地」を唱ったところから抜け出たに違いない。中上健二に「路地」というのがキーワードになるかな?と言ったのは、その路地をあてこんでいた。死屍累々の路地ではないが、この押し潰されそうな小径にも人間の記憶というやつが眠っている。
「ちょっと話をしよう」と喫茶店に誘う。潰れた有名店の話など業界話を30分。ナカマタ氏たちがやっている「掲示板」に記した「青山BC事件」についての自分の見解を読んでくれと言う。アドレスは持っていないという。だめだこりゃあ。営業統括部長が「情報」を選択して判断して上げる立場だよ。

朝刊で拾い読みした渋谷望の談話を再確認したくて、全国紙が置いてある珈琲店に行く。実はこの店のウェイトレス嬢の声質に密かに惹かれている。めがね美人なり。新聞は生憎と誰かが読んでいるらしく残っているのはスポーツ紙。10分ほどで店を出る。出た通りで昔の会社でいっしょだったはるか年下のモリ君を見かける。 何かを探しているようだった。会うのは10年ぶりか。「安い珈琲店で、少しおしゃべりを」と誘う。近況をついばむ。リップサービスでかつての上司・MIYAZAKI君に会えといい、彼と同業の空間設計会社の大手に転じたばかりのコスギ君の部署を教えるよなどと約す。

事務所からMIYAZAKI君に電話。電話を切る頃「ありがとうございました」と、オーバーな大声が聞こえる。回りを気にしているな。会社の空気が荒れているな。転職もしたいと言っていた彼にある仕事をテスト的にやらないかと誘う。「余所の業界からの評価も君のためにいいんだよ」と。夕方、再度電話すると約す。K氏に電話して大手空間設計会社に言った部下のK君の近況を聞く。まだまだ、新しい会社でポジションを得ていないという。M君に紹介するのはしばし猶予する。勢いては事をし損じる。

午後、ソン氏のプレゼン。集まりが悪い。そんなもんだよ。プロジェクターのセットをする。ソン氏が40ページも作ったらしい。そこそこの準備をしなくてはならぬ。PCとプロジェクターの相性が悪いのか、なかなかうまく行かない。結局、PCの回りに人を集めて氏の説明を受ける。ちょっと冗長。conceptualではない。人が去り、ソン氏とナミキ、カザマキ氏らと協議。プロジェクト・チーム作りの手伝いを約す。その件で後輩のタカハシ君に電話。明日、「ミロンガ」で会おうと、頼もしい奴じゃ。いろいろ教えて貰おう。

S氏と二人で一時間協議。PCに向かうがどうも調子が悪い。フリーズしてしまう。苛立って昨日会った会社の社長のためにプランナー候補を探すためS君に電話。「お会いしたいですね」と言われる。うーん、大変なんだな。彼に紹介されたS君に電話するも不在。留守電に用件を吹き込む。昨日の社長が好きになっている。いい存在を紹介してあげたい。

帰ろうとすると、別部屋にいたヒラタ氏が話しかけてくる。わかった。15分ほど説明。誘ってくれたのでうれしいと言う。来週、デザイナー・オオモリ氏との打ち合わせに参加してと頼む。「あんたが判断するんですよ」と強調する。

女性から電話あり。聞き慣れない声。「はぁ?」と答える、昨日は親切を受けまして〜と。どこぞやの女将かな? 事務所に訪ねてきた女性が道がわからないと電話口でうろたえているのでエレベーターを降りて案内しただけ。その後、「結婚紹介業だか仲人好き」かわからなかったが、40歳ぐらいの独身男性のお知り合いいませんかと聞かれた。適当に生返事をしたが、その催促電話であったことがようやくわかった。
34歳の国際線スチュワーデスがいるとか、38歳の「×1」女性がいるとか。ああ、覚えておきますよと電話を切る。すごい営業、いささかたじろぐ。

40歳独身男コバヤシ君に電話。「おめぇ。結婚する気ないか」と唐突に。「何を言っているのですか」と電話口で笑う。もっともだ。むしろ「週末に会ってくれませんか」と頼まれる。うーん。