●外食産業の枠組み

●あるフード・コンサルタントとある会社の社長の会話を横で聞いていた。なるぼとと思った箇所があった。「規模の大小は別として外食産業へは誰でもが与し易しと思って参入する」。「どんな小さなラーメン店でも総合(技術)産業だ」という発言だった。
前者は「俺でもできるさ」と、料理好きな素人の発想がそのまま生かされやすい産業という意味であろう。プロとアマの差が見えにくい業種とも言える。この「見えにくい」という部分は考えさせられる。大資本が要るわけでもないし(実態はそうではないようだが)、簡単に取り組めると思える。「俺でも出来るさ」という素人の自負は、どんな業種でも起業の出発点であろう。だが、技術を軽視する思想も孕んでいる。トータルには経営技術といってよいのだろうが、発想だけで事がうまく行くと思わせる何かがある。大量生産システムの業種ではないからではないか。

もうひとつの気に入った発言は、「総合産業説」だ。原料(食材)を仕入、調理場は工場、運ぶのは人、直接顧客に売る。一貫した製販システムといえる。メーカーが対面販売をやっている訳だ。そしてサービス業という側面を持っている。だからこそ、工場のような安全かつスピーディなオペレーションを駆使しなければいけない部分と、極めてメンタルなサービスの部分を持っている。そこで「利益」を追求する業種なのだから、合理性が要求される部分といい気分だった感得させなければならない宿命を持ったエモーショナルな部分を構造化している業種である。そこで「儲かる経営」の秘密を探るのはなかなか難しい。私が出来る訳はない。