●駅のゴミ箱

●テロ事件の予防のためか、地下鉄をはじめ各駅のゴミ箱が封印されている。サリン事件の直後もそうだった。異様といえば異様だ。鼻をかんだティッシュや鞄の中にあった捨ててもいいコピーは家に持ち帰れというのか。

「公共空間だから規制は必要だ」というもっともな論理だろう。ちょっとまて、と言いたくなる。へそ曲がりの意見ではない。「ものみな公共のもの」というもっともな論理は、私権を大幅に制限することと裏腹だ。公共のためならば、「個人」も「プライバシー」も制限されてしかるべし、という論法に繋がらないか。

駅のトイレに入ったら、大きな透明のビニール袋がぶら下がっていた。「トイレで読んだ雑誌や新聞はこの袋に入れて下さい」と言わんばかりに占拠していた。夕刊紙やスポーツ紙、「実話雑誌」等がトイレの中で捨てられていたが、ふだんは買わない雑誌でもうんうん唸っている時に読んでしまう時があった。愉しみというほどのものではないが、卑猥なトイレの落書きも、その直接的な表現ににんまりとして思わず拍手を送りたい時もあった。

余計なもの、不浄なものを排除に排除を重ねて進む社会とは、恐ろしい。クリーンなもの、綺麗なもの、「健康」なものだけが認められ、公認される。ちょっと、いやだぜ。