●;近郊都市の荒れ(2)

●;小田光雄『近郊都市の誕生と死』(青弓社)をつまみ読む。<近郊の風景>の変貌について書いている本。田や畑に幹線道路が所狭しと串刺され、その死体を前にした葬儀の花環のようなロードサイドショップの店々、ファミリーレストランの見慣れた看板をマイカーの中から覗いて、ニューファミリーを演じた私らは、フォークとナイフの使い方にとまどいつつ、この白々しい風景に格別の殺意を持たなかった。村から東京に出てきた1968年〜、連続射殺魔として現れた永山則夫のようには。郊外にとって代わり、70年代に膨れあがったロードサイドビジネスの店々。日本でも始まっていたモータリゼーションが「ルート66的ポップ」への好みを助長させた。「風景のアメリカ化」(小田)を嫌った者どもは少なかった。過剰な消費社会へ突入していったのだ。