●神保町の焼鳥屋で

●帰りがけに近くのY出版社に寄る。朝方、同じような年頃のワタナベと喫茶店でダベったこともあって、なにとはなしにおしゃべりしたかった。出版関係の事情通ということもある。いつもの店に行くかい?と聞かれたが別の店を案内する。一家、親子でやっている焼鳥専門店で雰囲気は極めていい。電話でもう一人の出版社カミムラ氏を呼びだして飲む。二人はけっこうな酒飲みである。

話題1。青山BCの倒産劇。どうやら彼らの情報が的を射っている。「経営者の失敗」だ。悲惨なのは、一生懸命だった店員たち。群がるのはその店のブランド?を確保したい別の経営者たち。不良債権剥がしの銀行が犯人視されているが、襲われた経営者の側にも相当な問題がある。いっぽう、取次店の寡占化が話題。

話題2。<柔道の女たち>の美しさについて。優勝した選手の名前もしっかりとは覚えていないが、けっこう盛り上がる。オジサンたちの関心は「美しさ」にある。美貌ではない。「企画のヒントをもらった」という人がいたが、本のつくり方では意見異なる。「写真と文」というところで筆者を誰にするか。昔だったら、美文調の作家や評論家を起用するのだろうが、断然、<女>がいいと発言。でも、誰が?というところでハタと止まる。何も読んではいないのだ。80年代〜にシャープな女の書き手がいたが、どこぞやに散ってしまった。金井美恵子はいいねぇと言ったけれど、他の二人は読んでいない。実は、私もろくに読んでいない。いつも、沢木耕太郎でもねぇだろう。

話題3。 自分が登っている「東京23区高嶺登山紀行」(「アルムクラブ通信」に連載中)を<本>にしたらと言われる。マジかよ。御殿山は古井由吉の『東京物語考』に影響を受けたとしゃべる。愛宕山吉村昭の『桜田門外の変』にイメージを託された、想像が跳ねたのだ。原稿を整理しようかな。