●文壇バー

●金曜日、新宿の文壇バー「K」で人と待ち合わせ。昔から文壇、論壇バーが嫌いだ。その理由の一つ、もしかして全てかもしれないが、会社のカネで飲めなかったほど貧乏会社だったせいもある。つまり、コンプレックスだ。

作家や学者など売れている人かどうかは別にして<新しいことば>を生み出した人は、エライ。尊敬する人もいる。編集者はかしづく侍従。ところが、店の主人(ママ)は侍女ではなく愛妾のような振る舞いをする。いつのまにか、本を出した物書きは一冊の本をうやうやしく呈するわけだ。そんな「K」になんどか行ったが、著者たちの本を麗々しく飾ってあるところが余計にいやだ。なんでぇ、<権力構造>そのものを映しているだけじゃねぇか。わらっちゃうぜ、と言ってしまう。

じゃあ、私が仮にエライ人の仲間に入ったとして(そんな訳は全くないが)、こういった店によく来るかというと(たぶん)行かない、来ない。「絶対行かない」というほどの意固地な振る舞いはしないけれども、好んでは行かないだろう。ごくフツーの店に行く。

カウンターの後ろに飾られた幾冊かの本の背表紙をな眺める。あっ!こいつも本を献じていやがる。やだねぇ。